ついに東京オリンピックまで残りわずかとなったこの時期、IOC(国際オリンピック委員会)の発表で、2022年ユース五輪から新競技として「ベースボール5」が追加となりました。
バットを使わず、投手もいない「手打ち野球」のような競技で、若者や野球に馴染みのない地域への普及をめざして新競技として近年作られたこの競技。実際にどのような競技なのか?ご紹介していこうと思います。
手打ち野球/ベースボール5とは
出典:https://blog.goo.ne.jp/shiraho4353/e/0fba83befc0d528b0373b9902adeea67
冒頭にお伝えした通り、手打ち野球のようなベースボール型の新競技「ベースボール5」ですが、発端は2018年になります。
WBSC(世界野球ソフトボール連盟)が2024年のパリ五輪に野球を残すことを目標に、気軽に参加できる野球の競技として考案され、WBSCでは野球、ソフトボールに次ぐ第3の競技としても認定しています。
ボール1つで出来る競技として幅広い地域や世代で競技人口も多いサッカーに比べ、野球は道具、場所、人数など様々な要素が組み合わさらないと楽しむのは困難なことが多い為、競技人口の大幅な増加にはなっていませんでした。
そういった状況を打破するために、「野球」を原型としながらもバットは使わず、投手も不在という新ルールとして世界的普及を目指しているようです。
手打ち野球/ベースボール5のルール(距離)は?
出典:https://baseball5.wbsc.org/documents/baseball5-field.pdf
ベースボール5のオフィシャルルールはWBSC(世界野球ソフトボール連盟)が作り、基本的にはこのルールに基づき世界でプレイされています。
細かいルールは沢山ありますので、まずは「距離」についてご紹介します。
【フィールド全体】 内野(上記図のグレーのゾーン)は正方形で、各コーナーにベース(塁)があり、ベースとベースの間隔は13メートル。フェアゾーンは上記図の黄色の部分まで入れて、18m四方。 バッタースボックスは本塁(ホームプレート)のすぐ後ろで、時計と反対周りから 順に一塁、二塁、三塁となります。
【フェアゾーン】 フェアゾーンは、18 メートル四方でコーナーのひとつが本塁になります。
出典:https://www.city.hanyu.lg.jp/docs/2014111400138/file_contents/Baseball52019.pdf
【バッターボックス】
バッターボックスは、3メートル四方で、フェアゾーンの外に設置されます。 フェアゾーン内の本塁で交差する2本のファールライン延長上の外側にあります。
出典:https://www.city.hanyu.lg.jp/docs/2014111400138/file_contents/Baseball52019.pdf
【1塁/ファーストベース】 衝突を避けるため、一塁にベースを二枚置き(上記図参照)、野手はフェアゾーン内のベース上でプレーし、打者/ランナーはファウルゾーンにおかれたベースをタッチしなければならない。
また、インプレイのもとで一塁に進塁するランナーはベースをタッチしなければならない。セーフになるために はベース上に留まるか、ベースから1.5 メートル先までのセーフエリア内に留まっていなければならない。
足が少しでもそのエリア内に残っていればよい。ランナーがそのエリア内に全くとどまれない状態で、ボールを持った野手にタッチされた場合、ランナーはアウトとなります。
【本塁/ホームプレート】 従来の野球とソフトボールの本塁/ホームプレートの形のもので適用できます。
【塁/ベース】
ベースの理想的な形とサイズは一辺50センチの正方形。一塁と三塁はベースの一辺がファウルラインに接し、フェア地域内に置かれます。
出典:https://www.city.hanyu.lg.jp/docs/2014111400138/file_contents/Baseball52019.pdf
【フェンス】
理想のフェンスの高さは100センチですが、それぞれのリーグ/大会の運営によって既存の壁を利用したりグラウンドに線を引くなどし、その場のフィールドの状況によって臨機応変に対応することが可能。 ただしその場合、ローカルグラウンドルールなどを事前に決めておく必要があります。
手打ち野球/ベースボール5 野球との違いは?
出典:https://www.kyodo.co.jp/life/2019-07-16_2126812/
ベースボール5と野球の違いを簡潔にお伝えすると、「道具」「人数」「ルール」の3点が大きな違いです。
ます、「道具」ですが、前述した通りベースボール5ではバットを使わず「手」をバット代わりに使います。更に、「ゴムボール」と「正方形の場所」さえあれば誰でも参加できてしまいます。
次に「人数」ですが、その名の通り、ベースボール5は「五人」で競技を行えます。
野球は9人必要で、且つ草野球などにおいてはきちんとストライクが投げれる投手とそれを受けれるキャッチャー、防具、ユニホームなど、大人数で行うにはハードルが高い点がありますので、そういった意味ではベースボール5は効率的に行えるかもしれません。
最後に「ルール」です。野球が9イニングに対し、ベースボール5は5イニングまでとなっています。
また、男女混合でのチーム編成もOKで、その場合、守備側は必ず男女2名ずつ入れなければなりません。
その他の細かいルールは割愛しますが、こういったルールが大枠の違いになります。
手打ち野球/ベースボール5 人数は?
出典:https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2010/10/12/gazo/G20101012Z00001750.html
前述した通り、ベールボール5は5人で競技を行うことが可能です。
ベースボールでは野球のように細かいポジション分けは存在せず、全員が一定の距離感で守備を行います。要するに、内野や外野などの住み分けがないので、全員でとにかく「守備」するというようなイメージとなっています。
手打ち野球/ベースボール5 道具(バットとグローブ)は?
子供の頃に手打ち野球や三角ベースなどで遊んだ経験のある人が多いと思いますが、ベースボール5にはバットとグローブが必要ありません。
このように、手軽に誰でも取り組めるというのがベースボール5の良さかもしれませんね。
手打ち野球/ベースボール5のボール
出典:https://terutarooblog.com/youth-olympic-baseball5/
ベースボール5のボールはゴムボールのような素材で、硬球や軟球よりも扱いやすい球質になっています。
ちなみにWBSCが定める公式球は以下のスペックとなっています。
● 重さ:80g
● サイズ:直径 66.5mm 円周 210.8mm
スポンサーリンク● バウンド:69.2cm (大理石の床に 150cm の高さからボールを落とした際の跳ね返りの高さ)
● 圧力:6.15 kgf (ボールの中心に向けて 30%で圧をかけた場合の重力キログラム)
● 素材: 天然ゴム 100%(リサイクル素材も可)
この公式球が無かったとしても、市販のゴムボールで充分代用できますので、皆さんも是非機会があったらこのベースボール5にチャレンジしてみてください。
まだ普及率は低いですが、今後世界中で広がる可能性は大いにあると思います。昨今野球離れが話題にもなっていますが、「ベースボール5」をきっかけに野球が今以上に盛り上がってほしいです!