かつては仙台育英の佐藤由規(由規、現ヤクルト)、大阪桐蔭の中田翔(現日本ハム)と並び、
「高校BIG3」として甲子園を沸かせた唐川侑己投手。
千葉の成田高校から地元・千葉ロッテに入団した後も、
お手本のようなキレイな投球フォームから放たれる、キレイな軌道のストレートと、コントロール抜群の変化球のコンビネーションを武器に、
ローテーションの一角を担う投手へと成長していました。
しかし、近年は思うような成績を挙げることが出来ず、伸び悩んだ唐川侑己投手。
2018年シーズンも何度か先発投手としての機会を得ていましたが、思うような結果が残せず、
近年同様、1軍と2軍を行ったり来たりする状況が続いていました。
そして、ついに2018年シーズンは中継ぎ専門として1軍に再昇格。
その後はランナーを出すものの、要所を締めるピッチングを披露し、1軍での新たな居場所を確保しようとしています。
そんな唐川侑己投手のこれまでの実績と投球術から、中継ぎ適性の可能性をお伝えしていきます。
唐川侑己投手のプロフィール・経歴・成績について
唐川侑己投手は、1989年7月5日生まれの29歳(2018年8月現在)。
千葉県出身で、小学校中学校高校と地元千葉で過ごしてきました。
高校は成田高校に進学し、抜群のコントロールを武器にメキメキと成長を遂げ、1年生ながら成田高校初となる選抜(春の甲子園)出場に大きく貢献しました。
その後も非凡な才能と、投球術を武器に、激戦区である千葉県大会で目覚ましい成績を残しました。
春の甲子園には2年連続で出場するも、夏の甲子園への出場は叶わず。
それでも唐川侑己投手の名前は、年を追うごとに全国へ知れ渡り、
やがて仙台育英高校の佐藤由規、大阪桐蔭の中田翔と並び「高校BIG3」と称されるほどまでになりました。
高校卒業後のプロ志望を選択し、2007年のドラフト会議では、ドラフト1位で広島東洋カープと千葉ロッテマリーンズから指名を受け、
くじ引きによる抽選の結果、唐川侑己投手の地元である千葉ロッテマリーンズへの入団が決まりました。
ルーキーイヤーから1軍での登板機会を得て、2008年4月23日のソフトバンク戦で、初登板初先発で見事プロ初勝利を挙げました。
初登板初先発での勝利は高卒投手としてチーム史上初、また平成生まれではプロ初となる記念すべき1勝を挙げました。
しかしその後はなかなか勝ち星を積み上げることが出来ず、怪我の影響もあり、
2011年に12勝を挙げるまで、苦悩する年が続きました。
2012年以降も故障離脱や不調が長引き、自身2桁勝利を挙げたのはこの2011年のみとなっています。
毎年ローテーションの一角として期待されている唐川侑己投手ですが、なかなかその期待に応えられず、2018年、中継ぎ陣の相次ぐ不調や、先発陣の故障などのチーム事情により、プロ入り初の中継ぎ専念という形で、1軍に復帰しています。
唐川侑己の投球フォームはキレイすぎる?!
引用元:NumberWeb
唐川侑己投手の特徴といえば、なんと言っても流れるような美しいフォームです。
入団当初はあまりにもキレイすぎるフォームで、特段特徴のあるフォームではなかったため、
注目されることはなかったのですが、2011年に12勝を挙げた頃から、岸孝之投手(楽天)と並び、日本球界の中で美しい投球フォームで投球する投手の1人として、一躍有名になりました。
そんな唐川侑己投手ですが、実はプロ入り後何度かフォームを変更していました。
プロ入り後、ストレートのキレ・強さを求め、スリークォーター気味であった腕の高さを、オーバースローに変更しました。
しかし、腕が身体から離れすぎてしまったため、自慢の制球力が悪化。
ストレートも以前ほどのスピードがでなくなってしまいました。
その後、2016年に高校時代に近いスリークォーター気味の腕の高さに戻したところ、ストレートの威力も戻り、制球力も安定してきました。
2018年現在は中継ぎとしてのポジションを任されているため、短いイニングで力いっぱい投げられることから、力強いピッチングに期待したいですね。
唐川侑己投手の最高球速は?球種は何種類投げる?
唐川侑己投手は一体どんな球を投げるのでしょうか。
ストレートの最速記録を調べてみると、プロ1年目の2軍戦で記録し、プロ10年目の2017年に記録した148kmがプロ入り後最速だそうです。
唐川侑己投手のストレートはキレのあるボールであると一定の評価を受けていて、
球速以上の威力があるとも評されています。
では、変化球は何を投げるのでしょうか。
唐川侑己投手の武器というとストレートと大きな球速差のあるドローンとしたスローカーブが有名です。
特に本拠地のZOZOマリンで投げるときは、投手が投球時に受ける向かい風の影響で、
投げたボールが押し戻され、より多くの球速差を生み、対空時間の長さからやや不規則な変化を生むとされています。
対戦するバッターはかなりタイミングを外され、打ちづらそうにしている姿をよく見ます。
唐川侑己投手は、その他にもスライダーやカットボール、チェンジアップ、シュートを投げます。
特にスライダーとシュートは対になる横変化をするボールであるため、左右の打者に関係なく、横変化を存分に使って投球することが出来ます。
キレのあるストレートと多彩な変化球のコンビネーションがハマったときの唐川侑己投手は、
もうどのバッターもお手上げ状態になります。
今は中継ぎとしてのポジションですが、やはり先発復帰して、安定感抜群の投球を見せてほしいところです。
唐川侑己投手の中継ぎとしての適性は?
2018年8月現在、中継ぎのポジションにいる唐川侑己投手ですが、そもそも中継ぎの経験はあったのでしょうか。
そして、唐川侑己投手の投球スタイルと中継ぎというポジションはマッチするのか、考えてみたいと思います。
唐川侑己投手は高校時代はもちろん、プロ入りしてからもずっと先発投手として活躍していました。
2013年までの1軍登板では全て先発で、2014年に4試合だけ中継ぎとして登板しましたが、それからはまた全て先発での登板でした。
つまり、人生の中で中継ぎとしての経験がほぼない中で、そのポジションを任されていることになります。
中継ぎ投手というのは、試合があれば毎日登板する可能性があり、先発登板するときと大きく調整方法が異なります。
2018年も先発投手としての調整を行ってきましたから、現在は中継ぎとしての調整を行いながら、登板しているようです。
中継ぎ投手というのは、試合展開によってはピンチで1点も失点できないような場面で登板することも多くあります。
そういった状況下で投げる中継ぎ投手に求められるのは三振を奪える力が高いかどうかになります。
奪三振力の高い投手、空振りを奪える投手の特徴としては、ストレートと球速差の少ない落ちるボールを投げられることですが、
唐川侑己投手の場合は、横の変化と球速差で打者を翻弄し、どちらかというと「打たせてアウトを取る」タイプの投手です。
中継ぎ投手の場合は、バットに当てられることすら避けなければいけないケースもあるため、
そうした「打たせて取る」タイプのピッチングをする投手はあまり向いていない、とも言えます。
しかし、唐川侑己投手の今後を考えると、自分が先発し降板した後に投げる中継ぎ投手の立場を理解する、ということにおいては、来季以降の唐川侑己投手が先発復帰した際には大きな糧となるはずです。
チーム事情も苦しい中ではありますが、唐川侑己投手には自身の今後のためにも、
中継ぎ投手としての立場を感じてもらいながら、快投してほしいですね。
ビッグ3の他選手と唐川侑己投手のプロ入り後の活躍を比較すると…
さて、高校時代は「ビッグ3」として名を馳せた唐川侑己投手ですが、
「ビッグ3」のうちの2人との成績を比べてみたいと思います。
まずはヤクルトの由規投手。仙台育英高校からヤクルトに入団しました。
自慢の快速球に大きな期待が寄せられていましたが、入団後から度重なる怪我に泣かされました。
2010年には当時の日本人投手の最速記録となる161kmを計測しましたが、その後もまた怪我に悩まされています。
2018年現在は、開幕後ローテーションに加わるものの、古傷の右腕の状態が上がらず、2軍での調整が続いています。
もう1人は日本ハムの中田翔選手。大阪桐蔭高校から日本ハムに入団しました。
入団後は課題であった守備力の向上や怪我によってなかなか出番がなかったですが、
2011年から1軍に定着。以降、8年連続の2桁本塁打を達成中、2014年と2016には2度の打点王に輝くなど、
リーグを代表する選手として活躍しており、日本代表の4番も任されました。
2018年現在も、日本ハムの主軸として欠かせない存在となっており、
プロ入り通算200号本塁打の達成も果たしました。
プロ入り後、怪我に泣かされながらも必至に投げ続ける由規投手、日本を代表する選手になった中田翔選手、
そして、未来のエースとして期待され続けるも結果を残して切れていない唐川侑己投手。
彼らも20代最後の年となりましたが、今でもビッグ3同士の活躍は互いに気にしているようです。
30代になってもお互い切磋琢磨しあい、プロ野球界を大いに盛り上げてほしいです。
唐川侑己投手も今年29歳。ルーキーイヤーから、平成生まれ初となる記録を総ナメするとも言われていましたが、
その後はなかなか期待に応えられる成績を残せていません。
「今年こそは…!」そんな声が毎年向けられている唐川侑己投手。
2018年の中継ぎの経験を活かして、2019年、先発・唐川侑己としての復活を期待したいです!