「何故高校球児は坊主なのか?」
このような疑問を持つ人はほとんどいない。
毎年夏、熱戦を繰り広げる甲子園において、球児の髪型を気にして観戦している人などいない。
しかし、私は疑問に思っている。
青春真っ只中の高校生が、何故坊主で野球をしなければならないのか?
今回はそんな疑問を解消すべく、自身で調査し、感じたことを書いていこうと思う。
高校球児 坊主の理由や由来
高校球児が何故坊主なのか?
諸説あるが、一番の理由としては「戦争時代の流れ」が大きく影響しているのだ。
戦時中、兵隊たちは「国民精神総動員」(「国家のために自己を犠牲にして尽くす国民の精神を推進した運動)と強いられ、ぜいたくは敵という精神論を植え付けられた。
この精神論から、戦時中は長髪は贅沢とみなされ、全て男性は丸坊主で統一していた。
その流れから、「意思統一の目的」を持って、未だに伝統の一つとして高校球児に丸坊主を義務付ける学校がほとんどなようだ。
勿論、高校野球連盟のルールに「坊主強制」というルールは存在しないが、各学校によってルールを設け、その中で坊主強制というのがいわば「当たり前の行為」として浸透していったようだ。
全国高等学校選手権大会は1915年(大正4年)に第一回が開催され、戦争が大きく影響したとは言いきれないが、坊主の強制、入場時の行進においての手足の揃え方、声出し等、少なからず戦争時代の名残を感じる部分は多々ある。
各学校の監督の凝り固まった思想で球児に対して坊主強制を強いているのは、個人的にはよくないと感じている。
何故なら、坊主を理由に野球を辞める人も多くいるからだ。
この点に関しては次項でお伝えしよう。
高校球児の坊主強制は人権侵害、パワハラにならないのか?
私自身、小学校から高校まで野球部に所属しており、この「高校球児=坊主」の構図に疑問を抱いていた。
私も高校進学時、野球は続けたいが坊主にはしたくないという理由で、坊主強制ではない野球部がある学校へ進学した。
偶然にも同じ理由で同校を選んだ同級生が多く、数人が強豪私立のお誘いを断って入学した強者もいた。
また、中学時代の先輩にもとてつもなく上手い選手がおり、この先輩も強豪校からオファーを貰っていたが、坊主にしたくないという理由で中学で野球を辞めてしまった先輩もいた。
このように、「坊主」というのは、野球を続ける上でマイナスな面として多大な影響を及ぼしている。
近年甲子園に出場している高校の9割は坊主となっており、逆に坊主ではない高校球児がいるとSNSで叩かれたり、高野連に「何故あの学校は坊主ではないのか?」とクレームまで入るそうだ。
ただ、皆さんよく考えて欲しい。
野球をする上での主役は「球児」そのものであり、TVで観戦する人やチームの監督やコーチが主役なわけではない。
勿論、指導者なくして甲子園出場はありえないが、もう少し周りの人間が視点を変えていった欲しいと思う。
確かに強制することの良さもあるが、15歳〜18歳という多くのことを吸収可能な貴重な時期には、もっと「自由」を与えるべきではないかと思う。
しかも近年、こういった考えの野球部が少しずつではあるが、現れていることも確かだ。
高校球児 坊主にしない野球部
近年甲子園に出場した高校のうち、坊主が強制ではない高校は以下の3校だ。
■北北海道 旭川大高校
出典:https://capturelife1.net/スポーツ/旭川大高、髪形自由の自立心で9年ぶりv→髪型/
■北神奈川 慶應義塾大学高校
出典:https://capturelife1.net/スポーツ/長髪の慶応「日本の高校野球を変える」→こっち/
■茨城 土浦日大高校
出典:https://bunshun.jp/articles/-/8651
上記3校のうち、特に興味深いのが慶應義塾大学高校だ。
同校野球部の部長によると、以下の発言をしている。
「野球界にはいろんな誤解がありますよね。坊主じゃないと、ちゃんとしていないように思われるとか。うちは常に『エンジョイベースボール』というのを掲げているのですが、楽しむと言うと楽な方向へ行ってると勘違いされる。でも楽しいことのためじゃないと、辛いことに耐えられないじゃないですか」
そもそも「慶応」という学校自体、ほとんど校則がなく、自由を重んじている。唯一の校則は、
「制服のときは黒の革靴を履く」
という程度だ
同校は部員100名以上を抱えているが、坊主らしい坊主の選手は誰もいないという。
自主的に坊主にしてくる部員もいるそうだが、基本的には短髪だという。(※前髪は帽子からはみ出さない程度に短くすることと、極端な「ツーブロック」などの奇抜なヘアスタイルはNG)
また、慶応野球部は監督やコーチから投げ方や打ち方などの技術指導は指導はほとんどないそうだ。
とにかく自由を重んじる同校ならではの考え方だ。
同校野球部の監督である森林貴彦は坊主に関して、
「伝統だからとか、みんなそうだからみたいな理由で坊主にしているとしたら、高校野球の発展を考えると残念ですね」
と証言している。
この発言を聞き、私は近年野球人口の減少が問題視されているのは、この高校での坊主強制というルールが少なからず影響しているのではないかと感じた。
前述した通り、野球は好きだが坊主にしたくないという理由で野球を辞めた人は私の周りにも多くいた。
高校サッカーや高校バレーの全国大会を見ると、ごく稀に全員坊主の高校生もいるが、ほとんどは自由な髪型をしている。
そう考えると、「野球」だけが坊主を強制しており、且つ高校球児が大学でも野球を続ける場合、その多くは髪を伸ばしている。
この「坊主強制」という問題は、野球界全体の危機として捉えて対策を練ってほしい。
高校球児 アメリカでは坊主NG?
では、アメリカの高校野球はどうなのか?
高校球児 野球漫画は坊主じゃない
野球をテーマにした漫画は多く存在するが、そのほとんどは坊主ではない。
「MAJOR(メジャー)」
高校球児 坊主の理由,由来まとめ
ここまで読んで頂きありがとうございます。
これまで述べたように、高校野球の坊主の理由は由来というのは諸説あるものの、昔からの流れや伝統、高校野球=坊主という普遍性が世の中に広まってしまったことが大きく影響している。
そんな中で、慶応高校のような坊主にしない特殊性を持った高校が出てきたりと、高校球児が坊主にするという流れを変える思考の指導者が現れ始めているのはいいことかもしれない。
今後の高校野球、並びに野球界全体を盛り上げるためにも、この坊主の是非を今後も追求していきたいと思う。
いっそのこと、高野連が「坊主禁止」にしてくれれば面白いかもしれないが。