読売ジャイアンツのエース、菅野智之。先日のクライマックスシリーズの対ヤクルト戦にて、ノーヒットノーランを達成。
シーズン通して最優秀防御率、最多奪三振、最多勝の三冠を果たし、今やアジアNo.1のピッチャーと言っても過言では無い。
ここまでの結果と高い能力を持つ彼に向けて、周りはメジャーへ挑戦を期待している。そんな彼のメジャ挑戦の可能性を探っていこうと思う。
菅野智之プロフィール(経歴、成績)
背番号: 19
ポジション:投手
身長体重:186cm / 92kg
生年月日:1989年10月11日
投打:右投右打
経歴:東海大相模高-東海大-巨人
※ 読売ジャイアンツオフィシャルHPから抜粋
神奈川県出身、現在29歳の菅野智之は、祖父が東海大相模高校の監督、叔父があの原辰徳氏という野球一家で育ってきた。
小学校の時に叔父の原辰徳氏の引退試合を観戦し、野球を始め、中学時代は軟式ながら関東大会ベスト8という輝かしい成績を残り、高校は原一族の所縁がある東海大相模高校に進学。高校時代から145キロを超える速球を誇り活躍していたが、実は甲子園出場は果たしていない。
その後、東海大学に進学すると、1年秋からリーグ戦から主力メンバーに入り、日米大学野球、アジア野球大会日本代表等、多くの大会に出場し、大学通算のリーグ成績は37勝4敗という成績を残した。
大学卒業後の2011年ドラフト会議にて、叔父の原辰徳氏が監督を務める読売ジャイアンツからの単独指名が濃厚とされていたが、ここで北海道日本ハムファイターズも1位指名を行い、結果、日本ハムが指名権を獲得。
その後菅野氏は、日本ハムからの指名を拒否し、野球浪人を決意したのである。そして1年後の2012年ドラフト会議にて、改めて読売ジャイアンツの1位指名を受け、入団したのである。
巨人入団後はブランクを一切感じない投球で活躍し、ルーキーイヤーで13勝をマーク。2年目以降も先発ローテーションの主軸として投手陣を引っ張り、毎年勝ち星を重ね、2017年には平成生まれ初の沢村賞を獲得した。
そして2018年シーズンは投手三冠を獲得し、クライマックスシリーズ1stステージのヤクルト戦にて、ノーヒットノーランを達成。現在プロ野球界で一番油に乗っている投手である。
菅野智之のメジャー志向は
これほどの活躍をしていれば、周りはいずれメジャーに行くと感じてしまう。日本での投球を見れば成功すると思うが、肝心の本人の意向はどうなのか。
これまでジャイアンツのエースとしてチームの優勝、後輩の指導など、とにかくチームのことを考えて先頭を走ってきた。個人的な目標よりもチームを優先する言動が殆どであり、具体的にメジャー志向がある旨は発言していなかった。
しかし2017年末、メジャーで活躍している大谷翔平選手に関する記者からのインタビューに対して、「僕は彼(大谷)ほど絶対的な力を持っていない。(海外FA権獲得まで)あと4年ありますけど、しっかり絶対的な力をつけて文句なしに行けるように。そこまでにしておきます」と発言したのだ。
この発言はいずれメジャーへ挑戦したいという気持ちの表われであり、本人はメジャー志向が強いことが分かる発言であった。
菅野智之、メジャーで通用するか通用しないか
ここで、菅野選手のメジャーで通用するか否かを分析していこう。
大学時代から世界大会に出場していた彼にとって、アメリカの選手と対決する経験は若い時から積まれている。
NPBと大リーグでは個々の選手の能力の差は歴然であり、実際に試合で対戦してみないとわからない部分は多いが、筆者の予想としては、彼は必ずメジャーで通用すると感じている。
その証拠として、2017年に開催されたワールドベースボールクラシックス(WBC)にて菅野選手は準決勝でアメリカと対戦。試合は敗戦してしまったが、菅野投手はアメリカ相手に6回6奪三振1四球で3安打1失点(自責点0)という素晴らしい投球内容であった。
菅野選手の投球を組み立てるのは伸びのあるストレートと生命線のスライダー、そしてスプリットをコーナーに使い分け、これらの変化球をコントロールするという内容だ。しかしアメリカ戦では、これらの変化球に加えフォークを解禁したのだ。
これは予選リーグでキューバに打ち込まれ、彼自身が自分の投球術を修正し、アメリカ戦に向けて試行錯誤を重ねた結果であったのだ。このように、試合毎に自身の投球を振り返り、その都度どういった作戦で抑えるかという彼の『適応力』が高い部分は、メジャーにいっても十分に通用する要素の一つであろう。
菅野智之のメジャー挑戦 -海外の評価、スカウトの評価-
2017年のWBCにて、対戦相手のアメリカチームのリーランド監督は対戦後のインタビュー
「彼はメジャーリーガーだ。どれくらい印象に残ったかを伝えられないくらいだ。本当に良い。速球は外角のコーナーに制球できるし、カウント3-0からでもスライダーを投げる。本当に印象的だ。」
と高評価をしている。その他の対戦したアメリカの選手たちも「菅野は素晴らしいピッチャーだ」と良い評価をしており、全体的に良い印象であるのだ。
メジャースカウトも、菅野選手がFA取得した後は争奪戦になると発言しており、悪い評価は見当たらないのであるのだ。
菅野智之メジャー挑戦 –FA、ポスティング移籍-
菅野選手が仮に今すぐメジャー挑戦した場合、ポスティングシステムでの移籍となれば相当な入札額になるだろう。
メジャー関係者も、あのダルビッシュ有選手や田中将大選手と同等かそれ以上の入札額になるといっているが、実は菅野選手はすぐにポスティング移籍ができない環境にある。
それは所属している読売ジャイアンツがポスティングでのメジャー移籍を認めていないからだ。松井秀喜選手も9年を経てFAでニューヨークヤンキースに移籍。
上原浩治もFAでメジャー挑戦という、選手の意向ですぐにメジャー移籍できないのが読売ジャイアンツに所属している選手の宿命だ。
この決まりにより、本来すぐにでもメジャー挑戦したい菅野選手も、簡単には移籍できないのが現状だ。
菅野智之メジャーへの最短移籍は
ポスティングでのメジャー挑戦ができない菅野選手にとって、最短でメジャー移籍できるのはFA取得可能な3年後の2021年となっている。
今現在で完成された菅野選手にとって、3年後に同様の投球をできるのかは未知である。選手のことを考えると、読売ジャイアンツがポスティングNGにしている方針を変えるべきであるが、ファンとしては菅野選手がジャイアンツから抜けてしまうのもやや不安である。
ただ、一人のプロ野球選手としてメジャーで活躍する菅野選手をみてみたい気持ちもある。複雑な心境であるが、本人がどういった決断をしても菅野選手を応援していこうと思う。