プロ野球選手にとって、引退後の第二の人生の目標とされるのは、チームの監督になることです。
かつては、チームの顔となっていたスター選手が、後に監督となるケースが多かったですが、近年では、レギュラー格でなくてもチーム事情をよく知る存在であった選手や、チームに縁もゆかりもない方が監督に就任するケースも少なくありません。
2000年代には、外国人監督も増えていきました。
選手とは違う立場で、チームの顔ともなるプロ野球の監督ですが、試合中の指揮を執る以外に、何をしているか、あまり良く知られていません。
今回は、プロ野球の監督のいろいろについて調べてみましたので、ご紹介していきます。
プロ野球の監督の仕事内容とは?
引用元:SUMMTIME
プロ野球の監督が一番目立つのは、選手交代の際に、審判に告げるシーンや、抗議を行う際ではないでしょうか。
その他、試合中の指揮を執ることについては、よく知られていますが、プロ野球の監督の仕事とは具体的に何をしているのでしょうか。
プロ野球の監督は、各専門のコーチの助言を仰ぎながら、いろいろなことを定めています。
・2軍から1軍への昇格、または1軍から2軍への降格
プロ野球の監督は、1軍での活躍をベースに、その選手が1軍で活躍し続けられる選手であるかどうかを見極めています。
同時に、2軍監督やコーチから、2軍で活躍し、1軍でも十分な戦力である選手の情報を定期的に共有し、1軍2軍間での選手の入れ替えを行う、最終決定権を持っています。
主にこの決断は、試合後に行われることが多くあります。
1軍での戦力調整としては、非常に重要な仕事で、常に強いチームであるために、選手を適材適所で入れ替えることが大切になります。
・1軍試合の先発メンバーの決定
スターティングメンバーの決定も監督の仕事です。
ここでも各コーチから選手のコンディションをヒアリングした後に、選手の好不調に合わせて、スターティングラインナップの決定を行います。
ここに監督の個性がよく出る部分でもあり、ファンからの不平不満や評価するコメントが多く出るポイントでもあります。
よくある監督の傾向としては、相手先発投手の利き腕によって、打者を入れ替えるパターンです。
俗に「左右病」とも言われていますが、相手投手が左腕投手である場合、左腕投手が苦手とされる左打者に代わり、右打者をスターティングメンバーに起用するケースが多く見られます。
・試合中の選手交代
審判に選手交代を告げる役割があるのは、ご存知かと思います。
この最終決定権も監督にあるケースもあるのですが、多くの判断はそのポジションのコーチに多くの裁量権があるケースがほとんどです。
これは、監督が現役時代に務めていたポジションがどこであったか、という部分に大きく関わるのですが、例えば野手出身の監督であった場合は、投手心理を読み取るのはなかなか難しく、
その判断は投手コーチに任せることが多くあります。
その逆で、投手出身の監督の場合は、代打起用や守備固めの選手交代などは、野手コーチの助言を仰ぎながら、決定することが多いようです。
・審判の判定に対する抗議
審判の判定に対して異議を唱える場合は、監督が行います。
近年ではビデオ判定の導入も進み、抗議が長時間化することも少なくなりましたが、判定を不服とすることで、抗議が長引き、激昂した監督が退場するケースも多くありました。
退場となった場合は、日本プロ野球機構からの罰金が科せられることがあるため、まさに身を削った行為とも言えます。
ちなみに、ビデオ判定の依頼を行うのも、監督の役割となります。
抗議ではないですが、審判への申し立てということで監督が行うこととなっています。
・試合後のメディア対応
試合後には、必ずマスコミへのメディア対応があります。
試合に勝利しても負けても、監督は試合後にマスコミからの質問に答える仕事があります。
勝利した日であればほぼ毎日のように、その日の試合を振り返り、選手を褒め称えるような発言、課題として感じている部分などに答えています。
敗戦した日も同様に、敗戦のポイントとなった部分について振り返るような話をするケースがほとんどですが、監督によっては、その試合があまりにも不甲斐ない試合だった場合、マスコミ対応を拒否するケースが稀にあります。
この取材拒否は、マスコミならず、選手、そしてファンへもピリついた雰囲気を与えることとなり、チーム状況があまり良くないことを暗示することになります。
・ドラフト会議での指名選手の決定
毎年行われる、ドラフト会議にて、どの選手を指名するかを決定するのも、監督の役割です。
しかし、この決定は監督のみならず、GM(ゼネラルマネージャー)が存在する球団の場合は、球団管理部門がその権利を強くもっているケースもあります。
指名する選手の情報は、シーズン中に監督が把握するのは難しく、各選手の担当スカウトが、選手の良さを監督はじめ、首脳陣・管理部門にプレゼンを行い、最終的には監督などが決定するという流れになっています。
来季以降、そして中長期的に強くしていくために、チームの弱点を補う、非常に重要な仕事の一つとなっています。
・キャンプの指揮
監督の仕事は、試合中の指揮だけではなく、キャンプの方針決めや育成方法を決める最終権限も持っています。
まずは各コーチと話し合いながら、各ポジションの課題、そして選手固有の課題についても共有し、チームと選手をどのように強化していくか、決定していきます。
具体的な育成・強化方法については、各コーチに任せているケースが多く、ここでは各コーチの手腕が問われる部分になります。
・各コーチの配置や解雇・契約
これまでご紹介してきたように、監督は各コーチの存在無くしては務まりません。
そのため、監督がコミュニケーションがうまく取れるか、また選手の育成・強化の手腕も見極めながら、コーチを選んでいくこともあります。
この決定については、監督自らの意思が込められるケースが多い場合と、そうでない場合もあります。
監督就任時の「組閣」については、監督の裁量権が大きい場合もありますが、監督の就任期間が長い場合は、その監督の後釜を育成するために、球団側からコーチ人事が変更される場合もあります。
このように試合中のみならず、試合後やオフシーズンでも監督はチーム全体を見渡しながら、コーチとの相談の上、様々な決定を行っています。
プロ野球の監督になるための資格はある?女性もなれる?
引用元:VICTORY
プロ野球の監督になるためには、資格があるのでしょうか。
答えは「なし」です。
ルールとしては、プロ野球選手のOBである必要もなく、プロ野球未経験の方でも監督になることができます。
また「女性」が監督になることも禁じられていないので、「女性」が監督になることも可能です。
しかし、先程ご紹介した仕事内容から、プロ野球の経験がないとなかなか難しい仕事であり、チームやファンとしても、プロ野球経験者であることが望ましいことから、プロ野球選手OBが監督して就任しています。
国籍については不問となっており、2000年代にはメジャーリーグで指揮を執った監督が日本のプロ野球球団の監督に就任したケースも多くありました。
今でも横浜DeNAベイスターズの監督であるアレックス・ラミレス監督は、現役時代はベネズエラ出身の選手でありました。(現在は日本国籍を取得。)
プロ野球の監督になるにあたっては、資格こそないものの、選手現役時代の評価が大きく作用し、監督になることがほとんどとなっています。
プロ野球の監督の年俸はいくら?
引用元:毎日新聞
プロ野球の監督の年俸はいくらぐらいなのでしょうか。
まずは、2019年度に就任していた監督の推定年俸を確認してみたいと思います。
【セ・リーグ】
球団 | 監督 | 年俸(推定) |
巨人 | 原辰徳 | 3億円 |
横浜DeNA | アレックス・ラミレス | 9,000万円 |
阪神 | 矢野燿大 | 1億円 |
広島 | 緒方孝市 | 8,000万円 |
中日 | 与田剛 | 1億円 |
東京ヤクルト | 小川淳司 | 8,000万円 |
【パ・リーグ】
球団 | 監督 | 年俸(推定) |
埼玉西武 | 辻発彦 | 7,000万円 |
福岡ソフトバンク | 工藤公康 | 1億円 |
東北楽天 | 平石洋介 | 5,000万円 |
千葉ロッテ | 井口資仁 | 1億円 |
北海道日本ハム | 栗山英樹 | 1億1,000万円 |
オリックス | 西村徳文 | 6,000万円 |
やはり球界の盟主である巨人、原監督の年俸はずば抜けて高いようです。
その他の監督は7,000万円~1億円ということろが相場となっているようです。
かつては外国人監督を招聘した際に、年俸5億円という破格の金額を目にするケースも有りましたが、現在はどの球団も変わらないような金額感でした。
広島、ヤクルト、東北楽天は2020年から新監督が就任しますが、この2チームの監督年俸もそう変わらずに契約すると予想されます。
チームを背負う監督としては、安すぎるという声も時たま聞こえますが、結果を残すのは選手の役割でありますから、この年俸や報酬というのは、評価に難しいところもあります。
プロ野球の監督の平均年数や平均年齢は?
引用元:毎日新聞
プロ野球の監督は平均してどのくらいの年数、そしてどれくらいの年齢の方がつとめているのでしょうか。
2019年10月時点のデータをもとに、見ていきたいと思います。
【セ・リーグ】
球団 | 監督 | 年齢 | 年数 |
巨人 | 原辰徳 | 61歳 | 13年(通算) |
横浜DeNA | アレックス・ラミレス | 45歳 | 4年 |
阪神 | 矢野燿大 | 50歳 | 1年 |
広島 | 緒方孝市 | 50歳 | 5年(退任) |
中日 | 与田剛 | 53歳 | 1年 |
東京ヤクルト | 小川淳司 | 62歳 | 6年(通算・退任) |
【パ・リーグ】
球団 | 監督 | 年齢 | 年数 |
埼玉西武 | 辻発彦 | 60歳 | 3年 |
福岡ソフトバンク | 工藤公康 | 56歳 | 5年 |
東北楽天 | 平石洋介 | 39歳 | 2年(監督代行時代含む・退任) |
千葉ロッテ | 井口資仁 | 44歳 | 2年 |
北海道日本ハム | 栗山英樹 | 58歳 | 8年 |
オリックス | 西村徳文 | 59歳 | 4年(ロッテ時代含む) |
平均年齢は53歳、平均年数は4.5年となっています。
近年は長期政権と呼ばれるチームは少なく、5年ほどであれば、どこのチームも監督が交代しているケースがほとんどです。
巨人の原辰徳監督も通算では13年となっていますが、連続年数ではなく、通算であり、今季から第三次政権の1年目となっています。連続して務めている監督は、北海道日本ハムファイターズの栗山英樹監督が8年連続で最長となっています。
平均年齢も53歳ということを考えると、現役引退を40歳ごろと仮定すると、約10年ほど、現役を退いた後に監督に就任するケースが多いと言えそうです。
プロ野球の監督の体罰の噂について
引用元:moromoro’s blog
近年、社会問題となっている「体罰」についてですが、選手に対して体罰を行うような監督はいるのでしょうか。
直近で体罰の報道が出たのは、2019年限りで退任した広島東洋カープの緒方孝市監督が野間選手に対して、体罰を行ったという報道が出ました。
退任は、優勝を逃したということが理由とされていますが、このご時世に体罰の報道が出てしまったことも退任の理由となっている可能性が高いです。
球団からも、緒方孝市監督に厳重注意を行ったことから、体罰が行われたことを事実として認めていることとなります。
このご時世に体罰とは、非常に残念なニュースでありますが、今後プロ野球界においても、このようなことがないように、球界全体として気をつけてほしいところです。
監督業はプロ野球ファンには計り知れない苦労があるようですが、応援し続けてくれるファンのためにも、チームを強くし続けてほしいですね。